趣味をシゴトにするべきか №2
働くオンナ道
2020.05.08
…先回の続き
まあ結論から言うと、私はダンナの海外赴任について行くまで10年間、仕事を辞めたいと考えたことはありませんでした。
好きな事をやっているというプライドが仕事のモチベーションになったのか、イヤな事があっても“音楽セラピー”的な感じでウヤムヤになったのか、、、知らないうちに10年が過ぎていたのです。
・・・とか書いてしまうと、「じゃあ、結論としては仕事を趣味にするべきですね?」と思われることでしょう。
しかし!私は「趣味を仕事にすること」を手放しで勧めているわけではないのですっ!
まず、離職した瞬間わたしは好きだった楽器に全く興味を失ってしまいました。
そう、私は唯一の趣味をなくしてしまったのです。
仕事って結婚と似ていると思うのです。互いを気に入り、もしくは納得して一緒になってみたものの、いざ生活を共にすると「トイレットペーパーが切れたら替えるという作業がそんなに難しい理由は何だ」とか「今日はなぜだかオナラが止まらない、とアンニュイに言ったりするが、今日じゃなくてここ10年毎日だろう」とか、色んなアラが見えてきて、ダンナ(仕事ね仕事)に殺意も芽生えたりするわけですよ。
あっもしかしてこれって、いわゆる「離婚(離職ね離職)したら赤の他人、2度と元には戻れない」ってやつかしらねっ。
厳しい練習に耐え音大を出て講師になったとか、理不尽にちゃぶ台をひっくり返すDV父親にもめげず見事ジャイアンツの選手になった、とかなら話は別です。が、そこに覚悟もなく大した努力もせず「趣味だもんで~」とズケズケ入っていった自分は実に甘かった・・・
そしてもう1つ!
それは「趣味で食べていくのは大変」というキビシイ現実です。
「趣味を仕事にした私ってナウい。オッケーバブリー!」と自分に酔いしれていたのも束の間、初めて貰った給料明細を見た時の衝撃は、我が52年の生涯ベスト(ワーストというべきか)スリーに入るほどデカいものでした。
1万6千円(月給)……ってマジか(汗)
銀行で結構な給料をもらっていた私は「趣味で食べていくとはこういうことなのか」とその時はじめて思い知らされたのです。バブルでも歩合給はガチに歩合給なんですねえ涙。
冷蔵庫と掃除機が同時に壊れたり、食中毒になり病院で深夜料金を払ったり、、、生きていくには何かとカネがかかるものなのです涙。
私は目の前にいる友人の息子にこう言いました。
「それほど好きな趣味なら仕事にせんでもいいよ。内定した企業に入れば経済的に安定するし、仕事と趣味、違った2つ世界を持っているのは幸せなことだでね」。
経済力のある仕事と割り切って「結婚生活」を続け、「恋人」である趣味とは週末デートを楽しむ。わかるか、若人よ。これぞ真のリア充だっ!
彼が心から納得したかどうかはわかりません。でもこれは「趣味を仕事にしなかった」と戸惑う彼に対する私のエールなのです。
仕事と趣味を結びつけるのもよし。しかし、そうしなくても残念に思うことは全くない。
趣味を仕事にするってちょっと聞こえがいい。もちろんそれなりに喜びを感じることはできる。でも引き換えにしなければならない犠牲もある。
「仕事どうですか?」って聞いてみたら、きっとIKKOさんだって「タ〜イ〜ヘ〜ン〜〜」って言うと思うんです。だってシゴトだもん!
まったく仕事って…「我慢代」なんだよねえ。ド〜ン〜ダ〜ケ〜〜涙。