機械/金型等の製造製作・保全
「機械の製造製作」や「金型の製造製作」と、「機械・金型の保全」を同じページで解説するのは、人によって違和感を感じるかもしれません。ただ、機械や金型の製造工場に勤務し、高い技能をお持ちの方は、結局「保全・メンテナンス」のスキルも有している場合が多いです。少し強引ではありますが、これらの職種のゴールは皆、「品質・納期・原価の要求を満たす良品を生産できる機械・金型を完成させ、必要な現場で活躍させること」だからです。ここでは、設備や金型の保全の仕事について解説を致します。
設備保全の仕事は、大きく3つに分けることができます。実際の仕事内容はそれぞれの工場設備によって異なりますが、大枠としては以下のような仕事をすることになります。事後保全
機械や設備・金型の故障や不具合が生じてから行う保全活動が「事後保全」、つまり修理です。従来は、この事後保全が中心に行われていました。しかし、壊れてから直していたのでは生産工程を止めてしまうことになり、多大なロスが発生します。また、正常に作動しない設備下での業務は事故などのリスクも高まります。そのため、保全はその活動タイミングや考え方を拡げ、製造業にはなくてはならない存在となってきました。予防保全
事後保全のリスクを踏まえて、不具合が生じる前に予防的・計画的に行う方法が「予防保全」です。予防保全には、一定期間経った部品を交換する「時間基準保全」と、劣化の進み具合に応じて交換する「状態基準保全」の2種類があります。本来は、交換不要な部品を交換することになるかもしれず、ムダも発生しますが、生産ラインを止めることなく、順調な供給に寄与することができます。予知保全
事後保全と予防保全のデメリットをふまえて考えられたのが「予知保全」です。予知保全とは、設備の性能低下など状況に応じて行う保全活動のこと。設備の状態を定常的に監視し、不具合の兆しが見られたときに対応することから、「状態監視保全」とも呼ばれます。予知保全は事後保全や予防保全と異なり、不具合が発生する直前で修理や部品交換を行うため、無駄を最小限に抑えることができます。近年注目されている方法であり、IoTの発達にともなって導入する会社が増えています。設備の状態をウォッチするためには、関連するシステムの導入が必要となってきますので、当然生産技術や工程設計担当者との充分刷り合わせが必要となるでしょう。
ところで、「金型保全」のキャリアを持った方が、機械・設備保全を担当できるかというと、たいへん難しいです。「金型」と「設備」の保全は、それぞれ全く別の業種と言っていいでしょう。金型の製造制作経験が、金型保全と機械製造制作のどちらに活かせるか、ということになると、圧倒的に金型保全になります。