生産管理・ロジスティクス
製造業では、必ず製品の納期が設けられます。期日に遅れることなく納品できるよう手配、管理するのが生産管理 の仕事です。生産管理部門は、顧客から展開される発注計画をもとに在庫量を加味して生産計画を作成します。その際、生産計画が生産キャパシティーの範囲内かどうかを確認します。生産計画に基づき、生産部への生産指示、原材料・部品の発注、調達、生産ラインの人員配置やシフトを決めることも行います。
製品が完成すれば出荷準備(梱包・伝票作成)、運送会社の手配を行います。短期的なサイクルでいうと、生産管理のミッションは、こうした生産に必要となる要素の調達から、完成形となる製品の出荷まで、円滑に滞りなく回すことと、在庫管理となります。一方で、中・長期的には工場の部品受入や製品置き場・荷造り・出荷エリアの整備、運送業者の選定や価格交渉に加え、在庫数量低減や輸送効率向上、リードタイム短縮、自動搬送による省人化などの改善の取組み、構内安全や事故防止などへの取組があります。
生産管理は納期遵守の最後の砦ではあるものの、コストや品質にも目配りしながら短期~長期の現場運営を行います。在庫量や工程や設備ごとのキャパシティ、品質状況を把握し、もし、生産計画通りにいかない事態が発生したときは、状況を判断して適切な対応を行うことも必要です。営業部門へ販売数量やスケジュールの見直し要求や、「バッドニュースファースト」精神で顧客に状況を伝えるなどです。品質問題を組織的に隠ぺいすることで、顧客の信用を失墜させてしまった事例がありましたが、納期に関しても起きた事態を正しく把握し、状況と対策をできるだけ早期に伝えることが重要になります。
生産管理部門は、「人手不足」「サプライチェーンの複雑化」「EDI(Electronic Data Interchange)への対応」「生産の海外移転」「製品のタイムリー供給」「残業時間の低減」「在庫の適正化」「BCP(Business Continuity Plan)」といった観点からも重要性がより高まっている職種と言えます。そのため納期管理、部品調達にかける人員が不足がちになります。それを補うために生産管理システムの導入が必要となります。従来のMRP(Material Requirement Planning)やTPS(Toyota Production System)をベースにして適切な在庫管理と原材料の手配を可能にするシステムからERP(Enterprise Resource Planning)システムを導入し、経営資源に関わる情報(販売、調達、生産、在庫、経理等)を一元管理するものまで様々です。 モノの移動をQRコードやバーコードでデータ化し、在庫がどこにどれだけあるのか、出荷されたのかどうか等の可視化は多くの企業で当たり前のように行われています。情報のデジタル化により、今後はトラブルが発生した時に顧客への納入への影響を最小限にする対応もAIに頼る時代も近いかもしれません。